素晴らしい人ってどんな人?|自分はダメだと落ち込む前に

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こんにちは。こころの悩みサポーターのこうへいです。

自分はダメな人間なのだと落ち込んでいる友人がいました。
話を聞いてみると「自分は周りの人と比べると、コミュニケーション能力も低いし、パソコン操作などが得意なわけでもない」と言っていました。
その友人は能力によって、素晴らしい人か、ダメな人かが分かれるのだと思っているようでした。

素晴らしい人の評価基準は変わるもの

「どんな人が素晴らしい人で、どんな人がダメな人間なのか?」と聞かれたら、この友人のように、能力の優劣によると考える人は多いと思います。
しかし、能力ではない、別の所にあると答える人もあると思います。

実際に時代や国、また見る人が変われば、「どんな人が素晴らしい人なのか?」ということは変わるものです。

昔のインドでは、生まれた家によって身分や職業が決められており、生まれた家によってその人の価値が決まってしまうような制度がありました。

ルネサンス期のヨーロッパでは、レオナルド・ダ・ヴィンチのような、芸術もできるし数学、生物学、天文学、物理学など、なんでもできる「万能人」が理想の人物像とされていたそうです。

日本とは比較にならないくらい受験戦争が激しいと言われているのが中国です。
中国の歴史を見てみると1000年以上の長い間、科挙(かきょ)といわれる官僚の登用試験がありました。
ものすごく過酷な試験で最盛期には倍率が約3000倍に達したこともあったそうです。
しかしこの試験に合格すれば、官僚になれるだけでなく、たいへんな称賛を浴びたようです。
特に科挙で1番の成績を収めた者は状元(じょうげん)と呼ばれ、名声をほしいままにし、破格の待遇を受けたそうです。

このようにいくつかの例を挙げてみても、何によってその人を評価するかは、全く変わってくることが分かります。

お釈迦さまの仰る“素晴らしい人”とは恩を知る人

では、世界の偉人として多くの人から尊敬されているお釈迦さまは、どんな人を素晴らしい人と仰り、どんな人を最低の人だと教えられるのでしょうか。

お釈迦さまは、知恩(ちおん)・感恩(かんおん)・報恩(ほうおん)の気持ちが強い人を素晴らしい人だと仰っておられます。

恩とは、「原因を知る心」と書きます。
「こんなに恵まれているのは、誰のおかげか」
「どなたのご苦労があって、私は生かされているのか」
現在の自分が在る原因を知れば、そのご恩を感じ、報いようという心になります。

仏教では、これを知恩(恩を知る)、感恩(恩を感じる)、報恩(恩に報いる)
といいます。
この心がどれだけ強いかで、その人が素晴らしいかどうかが決まるとお釈迦さまは仰っておられます。

反対に、恩を忘れ(忘恩)、恩に背き(背恩)、恩を仇で返す(逆恩)者は最低とされます。
お金や財産、地位の有無によって人間の価値が決まるのではないと言われています。

お釈迦さまは、

恩を知らざるものは畜生よりも甚(はなは)だし

と仰って、恩知らずは犬猫畜生にも劣る、とまで仰っておられます。
恩を知ることのいかに大切かを教えられているのです。

アメリカの大統領も感動した恩を忘れなかった人たち

年末になると必ずと言っていいほどテレビで放送されるのが、「忠臣蔵」です。
討ち入りを果たした47人が、主君の恩を忘れず、さまざまな困難にも志を貫き通した姿に多くの人が感動するからではないでしょうか。

仇討ちという行為自体の是非や事実はどうだったかにはいろいろな意見があるようですが、恩を忘れない姿が多くの人の胸を打つのだと思います。
アメリカの第26代大統領だったセオドア・ルーズベルト氏も「忠臣蔵」を愛読していたそうです。
国や文化は違えども、恩を忘れなかった人たちの姿に感銘を受けたのかもしれません。

恩を知ることは努力しないと難しい

私たちは多くのご恩の中で生活していますが、ともすれば当たり前になりがちです。

先日、日本列島を襲った猛烈な寒波と大雪の影響で、多くの家で水道が出なくなってしまいました。
水道局の職員が一軒一軒水道管が破損している家はないかを調べて回っている様子をニュースで見ると、蛇口をひねると水が出るのは当たり前のことでなく、多くの人のご恩があってのことだと知らされました。

また、大雪で路面電車が運休にならないように、一晩中電車を走らせて線路に雪が積もらないようにしたり、職員が夜通し除雪作業をしていたという報道がありました。
駅に行けば電車が来て、乗れば目的地まで届けてくれることも、当たり前ではなく、多くの人のご恩があってのことだと感じました。

何でも当たり前で、何か不都合があると文句を言う、そんな人は尊敬される人とは言えないでしょう。
恩を知り、感謝しようと努める人は信頼され、大切にされる人になります。

まとめ

「自分には能力や才能がないから、ダメな人間だ」と落ち込む人がありますが、人間の評価は国や時代、見る人によって変わります。
お釈迦さまは、知恩(ちおん)・感恩(かんおん)・報恩(ほうおん)の気持ちが強い人を素晴らしい人だと仰っておられます。
能力のなさに落ち込むよりも、恩を知り、感謝しようと努める人を目指してみてはいかかがでしょうか。

お釈迦さまの“恩”についての教えはこちらの記事でも書いています。
恩に感謝する心|祖母から教わったお釈迦さまの教え

恩を知り感謝する心には、実はこんな効果も、こちらの記事で紹介しています。
感謝が幸福感を生む?|「ありがとう」が幸せを生むことが判明!

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こうへい

チューリップ企画で動画制作を担当しています。 大学生のときに同じことの繰り返しの毎日にどんな意味があるのかと悩みました。しかも友人に相談しても分かってくれる人がなかったことが大きな苦しみでした。 その時に読んだ仏典の言葉に励まされました。その後、講演会の運営の手伝いをする機会があり、さまざまな悩みを持って参加した多くの人たちの声を聞かせてもらいました。私も学びながら、皆さんの悩みに寄り添っていける情報を発信していけたらと思っています。
心が穏やかになった人へ
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