人生100年をどう生きる?|『LIFE SHIFT』と仏教の視点で考えてみた
こんにちは。みさきです。
人生100年時代と言われるようになりました。
現在の平均寿命は80歳代ですが、これから日本に生まれる子供の半数以上は107歳まで生きるだろうと予測されています。
1970年には100歳以上生きる人は1%未満だったというのですから、この半世紀で劇的に人類の寿命は延びたことがわかります。
幸せなことです。
・・・・・・と一応は言ってみましたが、実際はどうなのでしょうね。
これから始まる100年時代は、果たして幸せといえるのか、もしかしたら不幸なのかもしれません。
「寿命」「長寿」には「寿(ことぶき)」と入っているように、長生きできることは幸福の条件だと人類は信じてきましたが、ここへ来てその価値観も揺らいでいます。
金銭面の生活不安、闘病の長期化、介護の苦痛など、長生きの不安が新たに 生まれてきたからです。
識者の中には「長生きが不幸の種となる」と指摘する人もあります。
果たして長生きは幸福といえるのか、今回は考えてみたいと思います。
人生100年時代、どう変わるのか
2017年ビジネス書読者グランプリに選ばれた『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』はなかなか恐い本でした。
この本では現在、70代・40代・20代の3人を例に老後の貯蓄のシュミレーションをしているのですが、これがかなりリアルで、自分の人生大丈夫だろうか?と心配になってくる内容でした。
実際は個人によって年収や家族構成・ライフスタイルなど人生要素が複雑に異なるので、大まかなイメージとしてこの本は書かれているのですが、私が読んでみてわかったのは、現在70代の人の老後は、これからの世代と比べると相当恵まれているということです。
つまり今、老後を送っている人をモデルに、自らの老後の人生設計をしている人があるとすれば、それはやめた方がいいということです。
今の社会と未来の社会では、まったく違うんですよね。
私の場合、このシュミレーションだと毎年所得の17.2%の貯金が必要で、年収を平均の約400万とすると、老後資金のために毎月約5万5000円の貯金が必要という試算になります。
老後の生活資金を最終所得の50%というのはかなり質素な生活ですから、余暇を 楽しむためには、さらに蓄えが必要になります。
「これはまずい・・・」と読んでいて思えてきました。
ところがです。
私の世代よりずっと深刻なのが、今の20代です。
個人の蓄えは毎年所得の約31%必要という試算でした。
「今を生きる」という人生観の見落としているもの
「今の幸せが大事」「今を生きよう」「今しかできないことがある」という人が 多くあります。
ただ一度の人生、しかも有限でいつ終わるかもしれない命、だからこそ「今を大切に」というメッセージはよくわかるのですが、一方でまた、一時的に今が幸せであっても、長い老後が不幸せであれば、かつての自分を否定し、後悔続けてしまいかねません。
『LIFE SHIFT』に、面白い実験が紹介されていました。
CGを使って、被験者が年齢を重ねたときにどんな顔になるか未来の顔を本人に見せ、その後、1000ドルのお金が入ってきたと想像させ、4つの使い道を示し、何を選ぶか問う、という実験です。
○大切な人のためにプレゼントを買う
○引退後に備えて定期預金に貯金する
○そのお金で贅沢で楽しい時間を過ごす
○とりあえず普通預金に預ける
未来の老いた顔を見せられた被験者は、見ていない人と比べて引退後のための貯金する金額が2倍以上多かったという結果でした。
この実験からわかることは、「未来の自分を想像すること」の大切さです。
長い老後を想像すると、今の自分はどうあるべきか、よくよく考えた行動を取るようになります。
仏教にこんな言葉があります。
「未来の果を知らんと欲すれば、現在の因を見よ」
未来の運命を知りたければ、現在の行動を見なさいよ
未来を老後と置き換えてこの文を読むと、「老後どうなるか知りたいと思った ら、今、何をしているかを見なさい、わかりますよ」とお釈迦様が言われていることになります。
『LIFE SHIFT』では、未来の老後の現実を知り、現在なにをすべきか考えるよう、警鐘乱打した本であるといえます。
セルフコントロールして、時間の質を上げ、資産を形成することを著者は勧めていました。
ところが仏教では、『LIFE SHIFT』が問題にする「老後」以上に問題にしなけれ ばならない未来があると説かれています。
それは「死」です。
人生100年とはいえ、死ななくなったのではありません。
100年生きられない人はあっても、死なない人はありません。
100%の未来は「死」に他なりません。
「死」はすべての人にとって確実な未来です。
それならば「老い」以上に「死」はさらに大問題ではないか、とブッダは警鐘乱打されたのです。
これを『生死の一大事』といいます。
仏教はこの『生死の一大事』を解決して、真の安心、満足を得る方法が説かれています。
「死」を真面目に見つめることによって、人生の時間の質、重さは全く変わります。
死を見つめることはいたずらに暗く沈むことではなく、真に幸せな人生を築くに大切なことなのです。
みさき
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