リーダーになった人が陥る10の罠とは?|貞観政要に学ぶリーダー論(前)

こんぎつね こんぎつね


こんにちは、暮らしを良くする研究家のこんぎつねです。

職場で一般社員から出世して部下を持つようになると、人を育てる立場へと変わります。
今までただ仕事をしていればよかったのに、突然部下を持って戸惑う人もあるでしょう。

また部下を持って何十年という人でも、「自分のやり方は正しいのだろうか」と悩むことがあるかもしれません。

そんな方が学ぶのがリーダー論です。

あなたはリーダー論の始祖と言われる貞観政要(じょうがんせいよう)をご存知でしょうか。

「貞観政要なんて聞いたことないよ」
「貞観政要という文字を『じょうがんせいよう』と読むことを初めて知った」

という方もあるでしょうし、

「太宗の言行録が書いてあるリーダー論の先駆けでしょ」
「貞観政要に関する本を読んだことある」

という方もあるでしょう。

貞観政要(じょうがんせいよう)は中国の唐を興した高祖・李淵(りえん)の息子である太宗・李世民(りせいみん)の政治に関する言行録です。

太宗は中国史上最高の名君の1人と言われている皇帝です。(他の候補は人によりますが、後漢の光武帝、宋の趙匡胤、清の康熙帝など)

その太宗の政治に対する言葉や家臣との問答を集めたものが貞観政要です。

太宗の死後50年ぐらいに当時の皇帝・中宗のために編纂されたもので、10巻40篇287章の大部な書です。

その後各国の言葉に翻訳され、日本でも北条政子がわざわざ邦訳させて学んだり、徳川家康が1600年に貞観政要を印刷させ、公家諸法度や武家諸法度にも貞観政要の一部を抜粋して組み入れたりと影響を及ぼしています。

現代では帝王学やリーダー論のさきがけとして大企業の経営者を始め、多くの人に読まれています。

貞観政要に関する記事はインターネット上にいくつか上がっていますが、今回は貞観政要関連の記事でよく出てくる「創業と守成」や「十思と九徳」の話ではなく、巻10・論慎終第40、貞観政要の最終章にある話を要約して紹介します。

太宗が治世を始めて13年経ち、行動におかしなところが出始めたときに魏徴(ぎちょう)という家臣が行った「魏徴の諫言十箇条」についてのお話で、時間を超えて現代でも共通するリーダー論の集大成です。

ここには命と引き換えに皇帝を諫める魏徴と、その諫めを受け入れる太宗の姿が描かれています。

(参考:古典に学ぶ -『貞観政要』の知恵-

冒頭

私(魏徴:ぎちょう)が歴史上の王朝を見ますと、王朝ができた初めのころは、素朴を第一にして華美を抑え、忠良な家臣を尊んで邪な者を卑しみ、贅沢をせずに倹約をし、生活必需品を大事にして珍しい品物を卑しんでいました。

しかしある程度国家が軌道に乗ると、それに反した行動を取ることが多いようです。

それは皇帝が最高の地位にあり、全国の富を手に入れ、誰も逆らう者はなく、命令に誰もが従い、公事に私情が挟まれ、礼儀が欲望で欠けてしまうからではないでしょうか。

古語に「知ることが難しいのではなく、行うことが難しい。行うことが難しいのではなく、きちんとやり遂げることが難しい」とありますが、その通りです。

私が考えますに、陛下が皇帝になられた初めのころは、欲望を抑え、倹約し、国の内外が安らかで、非常に世が治まっていました。

しかし最近は以前とは違って初心をお忘れになり、終わりを全う(最後まで立派に成し遂げること)できないのではないかと案じます。

私が聞いたところを連ねますと、次のようでございます。
 

一、高級品を好むようになった

陛下は最初のころは無為無欲でしたが、最近はだんだんそうでなくなってきました

陛下のお言葉だけ聞けば聖者を超えていますが、実際の行動は凡帝以下です。

こう申しますのは、陛下は駿馬を万里の彼方まで探し求め、珍宝を国外から買い求め、それを運ぶ行列を見た民衆は怪しみ、異民族からはバカにされています。

これが終わりを全うできない第一の理由です。
 

二、民に軽々しく労役を課すようになった

陛下は最初のころは民を見るときにはケガ人を見るように優しく、働く様子を見れば我が子のように愛し、簡素を常とし、大掛かりな土木工事はなさいませんでした。

しかし最近の陛下は贅沢を好んで節約を忘れ、軽々しく民に労役を課し、「民はやることがなければ怠ける。労役をさせれば扱いやすくなる」とおっしゃいます。

古来から民が怠けて国が傾いた例はありませんのに、どうしてそのようにおっしゃって労役を課すのでしょうか。

国のためを思ってのお言葉ではないと思われます。

これがどうして民の幸福を考えてのことだと言えましょう。

これが終わりを全うできない第二の理由です。
 

三、豪華な宮殿造営をさせるようになった

陛下は最初のころは自分が損しても民の利益を優先されました。

しかし最近の陛下は自分の欲のために民を使っています

節約の気持ちがだんだんなくなり、贅沢の気持ちがだんだん増してきています。

口では「民のことを考えている」とおっしゃっていますが、実際は自分の楽しみに熱心です。

宮殿造営を諫める声を防ぐために「これを造らないと不便なのだ」と事前におっしゃいますが、そう言われて諫める家臣がありましょうか。

そうおっしゃるのは相手の口を塞ぐためであって、良いことを選んで行う者とどうして言えましょうか。

これが終わりを全うできない第三の理由です。
 

四、君子を遠ざけ、小人を近づけるようになった

陛下は最初のころは名誉と礼節に励み、人をひいきせず、善人と親しみ、君子を愛し、小人は遠ざけていました。

※君子…理想的人格者。高位高官。
※小人…品性のいやしい人。欲ぶかく性根のひねくれたつまらぬ人物。

しかし最近の陛下は口では小人をバカにして、君子を大事にしているようですが、実際は君子を遠ざけ、小人を近づけています

近づけば悪い点が見えなくなり、遠ざければ良い点を知ることができなくなります。

君子の良い点を知ることができなければ疎遠になっていきます。

小人の悪い点を見ることができなければ親しくなっていきます。

小人と親しくして世を治めることはできません。

君子と疎遠になって国を興すことはできません。

これが終わりを全うできない第四の理由です。
 

五、工業ばかり重視するようになった

陛下は最初のころは黄金や宝石を投げ捨て、質素な暮らしをされていました。

しかし最近の陛下は珍しいものを好み、手に入れにくいものでも遠方から取り寄せ、工匠に精巧な品を作らせ続けて止むことがありません。

陛下が贅沢を好みながら民には質素を望んでも無理なことです

工業がますます盛んになりながら、農業も豊かになることができないことは明らかです。

これが終わりを全うできない第五の理由です。

 
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こんぎつね

チューリップ企画デジタルコンテンツ事業部にてサポートとインターネット業務にも携わっているこんぎつねです。(こんぎつねの記事一覧へ)チューリップ企画に来る前は愛知県で主に60代以上向けのイベントを運営していました。人について学ぶのが好きで、大学では生物学を専攻しました。よく読む本のジャンルは心理学、脳科学など人の心や体の行動に関するものが多いです。ブログもそれらの本を参考に、この悩みは 仏教ではこう解決するという内容を専門語を使わずになるべくわかりやすい言葉で発信することに心がけています。もっともっと多くの方の悩み疑問にお答えしたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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