一将功成りて万骨枯る|成功の陰の犠牲を忘れていませんか?

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こんにちは、暮らしを良くする研究家のこんぎつねです。

あなたは数人のチームで何かを成し遂げたのに、リーダーだけが評価され、自分は評価されずに悔しい思いをしたことはないでしょうか。

あるいはその逆に、多くの人が協力してやったことを自分の手柄にしたことはないでしょうか。

このように、「功績があっても組織の上部のみ評価されて、その下で働いた多くの人が顧みられないこと。評価される人の裏では、多くの人が犠牲になっていること」を「一将功成りて万骨枯る(いっしょうこうなりてばんこつかる)」と言い、四字熟語で「一将万骨」とも言われます。

「この前のプロジェクトが成功してあの人は昇進したけど僕らには何にもない。成功の裏ではどれだけの人が残業残業の毎日だったと思ってるんだ。『一将功成りて万骨枯る』とはこのことだ!」

このように全体の功績を自分のみの努力だと思っている人を批判するように使われることが多い言葉ですが、元となった故事は中国の唐の時代の末期に作られた詩にあります。

一体どのようなことがあったのでしょうか。
そしてそこから私たちは何を学べるのでしょうか。

「一将功成りて万骨枯る」の成り立ち

「一将功成りて万骨枯る」とはある七言絶句の詩の一節です。

元の詩はこちらです。

澤國江山入戰圖
(沢国江山(たくこくこうざん)戦図(せんと)に入る)
生民何計樂樵蘇
(生民(せいみん)何の計(はからい)ありてか樵蘇(しょうそ)を楽しまん)
憑君莫話封侯事
(君に憑(よ)りて話(かた)ること莫(な)かれ封侯(ほうこう)の事)
一將功成萬骨枯
(一将功成りて万骨(ばんこつ)枯る)

曹松:己亥歳(きがいのとし)

訳:
沢地の多いここ水郷の山河でも戦争が行われるようになった。
人々はいったいどのようにしたら、薪(たきぎ)を取り、草を刈って安らかに生きていけるだろうか。
どうかあなたにお願いする。戦で手柄をたてて出世をしたいなどと言わないでほしい。
一人の将軍が功績を立てる陰では、多くの兵卒が犠牲になっているのだから。

この詩は唐の末期に曹松という人によって作られた「己亥歳(きがいのとし)」という詩です。

曹松がこの詩を作ったときは、唐が安史の乱以降衰退の一途をたどっていた頃でした。

節度使(せつどし)と呼ばれる地方の軍閥が力を持って皇帝の言うことを聞かなくなり、皇帝も暗愚だったため政治は混乱し、天災が続いて民衆の生活は困窮していました。

この時に黄巣の乱と呼ばれる約10年間続く大乱が起こり、唐の滅亡を決定づけました。

この黄巣の乱の戦いで、反乱軍が唐軍に敗れて南下したのが己亥歳(きがいのとし)、西暦879年のことです。

南下した反乱軍は徴兵のために「反乱に成功して功を立てれば出世できるぞ」と言って回ったのでしょう。

これを聞いた曹松が

バカなことを言うな。一人の将軍がその『功』を立てるために一体どれだけの人が犠牲になることか

と思い、作ったのが「己亥歳」です。

万骨のためにできること

現代の会社で言えば、販売部門だけが評価されてその他の部門が評価されなかったり、サービス残業の上に成り立つ会社の社長が雑誌で得意げに語ったりしているのを見ると同じような気持ちになると思います。

そのようなことを繰り返せば人から恨まれ憎まれ、やがては自分が苦しむでしょう。

実際にブラック企業として明るみに出た某飲食系企業が、イメージダウンによって業績不振に見舞われた例もあります。

では、一将にあたる人にはどうすべきなのでしょうか。

まずは自分が成功したのは自分一人が努力したからだ、という考えを捨てましょう。

「恩」という字は「因」と「心」に分かれます。
」は布団の上に人が大の字で寝ている姿の象形文字で「下地を踏まえて上に乗ること」を表し、「」は心臓の象形文字で「慈しみ・愛情」を表します。

そのため「恩」という字は「他人の慈しみという土台があるから自分は布団で寝ていられる」という字で、「他の人のおかげで今の自分がいる」という意味になります。

自分が今幸せなのはなぜか。その原因を知り、自分のためにがんばってくれた恩人に感謝して、それらの人を喜ばせて好かれるようになることが必要でしょう。

仏教に「自利利他(じりりた)」という言葉があります。「他人を幸せにするままが自分の幸せになる」ということです。

自分を成功に導いてくれた恩人を蔑ろにしていては「自損損他(じそんそんた)」で、他人も自分も損をして不幸になります。

現代は幸い、「万骨枯る」と言っても本当に死んで骨になるわけではありません。
万骨に対して恩を返そうと努力すれば、それらの人たちはまたあなたに協力してくれるでしょう。
そうなればあなたは常に功績を手に入れることができます。

万骨を枯らして自分も不幸になるか、万骨を生かして自分も幸福になるかは、恩を知り、恩に報いようとできるかどうかにかかっていると言えましょう。

まとめ

「一将功成りて万骨枯る」とは中国の唐の末期、大きな反乱が起きた中で作られた詩の一節で、一人の成功の陰に多くの犠牲があることを表しています。

現代でも多くの人の努力の上に1つの成功があります。
自分が成功した原因は何なのか、誰のおかげなのかを知り、自分を成功に導いてくれた人に恩返しをすることで「自利利他」となり、さらにあなたは成功できます。

逆にそれらの人を蔑ろにしていては「自損損他」であなたに不幸がやってくるでしょう。

「一将功成りて万骨枯る」を忘れずに、自分の成功を支えてくれた人に感謝していきたいものです。

なぜ、他人を幸せにすれば自分も幸せになれるのか、他人を苦しめれば自分も苦しむことになるのかについて、こちらの記事で紹介しています。
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こんぎつね

チューリップ企画デジタルコンテンツ事業部にてサポートとインターネット業務にも携わっているこんぎつねです。(こんぎつねの記事一覧へ)チューリップ企画に来る前は愛知県で主に60代以上向けのイベントを運営していました。人について学ぶのが好きで、大学では生物学を専攻しました。よく読む本のジャンルは心理学、脳科学など人の心や体の行動に関するものが多いです。ブログもそれらの本を参考に、この悩みは 仏教ではこう解決するという内容を専門語を使わずになるべくわかりやすい言葉で発信することに心がけています。もっともっと多くの方の悩み疑問にお答えしたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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