仕事にユーモアは大事。でも仕事に悪影響なユーモアもあるんです!

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こんにちは、暮らしを良くする研究家のこんぎつねです。
あなたの職場にはユーモアが足りているでしょうか。

「仕事中に笑いなんて不謹慎!不真面目!仕事に集中しろ!」
という考え方もあるでしょうが、仕事中のユーモアが生産性の向上、ストレス軽減、チームワークの促進に効果的であることが最近の研究でわかっており、日本でもGoogleや富士ゼロックスなど大手企業でも実践しています。
(参考:
Sharing a laugh: Pragmatic aspects of humor and gender in the workplace
絶好調チームが実践! 笑いのマネジメント|プレシデントオンライン」)

さすがに仕事中に「だっふんだ」とやり始める変なおじさんはいないでしょうが、仕事中はみんな黙々とパソコンに向かって、怒鳴り声は聞こえても笑い声なんか聞こえないなんてことはないでしょうか。

「上司がしかめっ面で話しにくい」
「しょっちゅう誰かが怒られている」
「仕事の仲間とは会社内だけの関係」

という方もあるでしょう。

「ユーモアが大事なのは知ってるよ。だから自分はなるべく仕事中に笑いを取るようにしているんだ」
「シーンとした職場は嫌だからね。仕事中も笑い声が聞こえるようにユーモアに心がけてるよ」

という方もいらっしゃるでしょう。

あるいはそんな職場を変えたいけれど、なかなか変わらないので悩んでいるという方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、実はユーモアの中にも仕事にいい影響を与えるユーモアと、悪い影響を与えるユーモアがあるのです。
今回はそれを研究した論文(職場ユーモアが心身の健康と業務成果への自己評価に及ぼす効果)を要約して紹介します。

あなたのユーモアはどちらでしょうか。

ユーモアと反応の分類

ユーモアとは何か。ウィキペディアによると「人を和ませるような《おかしみ》」のことだそうですが、漠然としています。
そこでこの論文内では仕事中のユーモアを「職場において交わされる、おもしろい、おかしいといった感情を喚起しうるユーモア的な話題」としています。
つまり仕事中になされるおもしろい話やおかしい話は何でもユーモアとします。

まずユーモアの種類を調べるために、仕事中のおもしろおかしい話をピックアップして分類分けしたところ、以下の5つに分かれました。

  1. 規範抵触(ていしょく)的ユーモア:「後輩や部下の失敗」や「下ネタ系のジョーク」など、職場内で守るべきルールに触れるような内容のユーモア。
  2. 体験共有的ユーモア:「通勤や帰宅時に起こった出来事」や「自身の失敗」など自分の体験の中のおもしろさやおかしさを味わおうとするような内容のユーモア。
  3. 職場遊戯(ゆうぎ)的ユーモア:「職場にある機械や備品」をネタにしたり、「体を使ったギャグ」をするなどのユーモア。
  4. 人物想起的ユーモア:「同じ組織内の人物のモノマネ」や「職場の中のパターン化した言動やクセをもつ人」をネタにするなど、同じ仕事をしている人を思い出させるユーモア。
  5. 外部揶揄(やゆ)的ユーモア:「取引先や顧客先で起こった出来事」や「取引先や顧客先の組織の特徴や雰囲気」など職場外でのことをネタにしたユーモア。

また、人によってユーモアの感じ方は様々です。
おもしろく感じる人もいれば、わずらわしく感じる人もいます。
ユーモアを聞いた人の反応を以下の3つに分類分けしました

愉快(ゆかい)反応:「愉快さ」「ほっとした和み」などを感じる
倦怠(けんたい)反応:「どう反応すればいいか困る」「付き合うのに疲れる」などを感じる
当惑(とうわく)反応:「驚き」「不安」などを感じる

これらを元に436名に対して行ったアンケートを分析しました。

仕事中のユーモアの影響

分析の結果、

  • 体験共有的ユーモアは、仕事や職場に対して良く思っている点についての発言や、業務中のコミュニケーションを促して、業務成果への自己評価に良い影響を与えていた。また聞いた人の心身の健康に良い影響を与えていた。
  • 人物想起的ユーモアは職場への当惑(とうわく)反応を抑えて業務内コミュニケーションを促し、業務成果への自己評価に対して良い影響を与えていた。また聞いた人の心身の健康に悪影響を与えるのを抑えていた。
  • 外部揶揄(やゆ)的ユーモアは、仕事や職場に対して良く思っている点についての発言を促し、業務成果への自己評価に対して良い影響を与えていた。

などの良い影響を与えるユーモアがあるのに対して

  • 規範抵触(ていしょく)的ユーモアは仕事や職場に対しての不満発言を促していた。また聞いた人の心身の健康に悪影響を与えていた。
  • 職場遊戯(ゆうぎ)的ユーモアは職場への当惑(とうわく)反応を促して業務内コミュニケーションを減らし、業務成果への自己評価をも抑制していた。また聞いた人の心身の健康に悪影響を与えていた。

などの悪い影響を与えるユーモアがあることが分かりました。

まとめますと、

仕事や職場、聞いた人の心身に対して良い影響をもたらすユーモアとは、

  • 自分の日常や失敗をネタにするユーモア
  • 同じ職場の人の行動をネタにするユーモア
  • 取引先や顧客先についてのユーモア

仕事や職場、聞いた人の心身に対して悪い影響をもたらすユーモアとは、

  • 他人の失敗をネタにしたり下ネタ系のジョークなどのユーモア
  • 仕事をする場所で行うにふさわしくない行動をともなうユーモア

となりました。
記事冒頭の「だっふんだ」は”仕事をする場所で行うにふさわしくない行動をともなうユーモア”ですから悪い影響をもたらすユーモアですね。

口業(くごう)

仏教では口の行いを口業(くごう)と言いますが、お釈迦さまは「幸せになりたければ良いことを言いなさい。悪いことを言っていてはは自分が苦しむことになりますよ」と教えられました。

悪いユーモアを見てみますと、どれも聞いた人が嫌な気分になるものばかりです。
「あいつはこの前あんなことで失敗した」と笑ったり、仕事をする場に合わない非常識な言動を取ればそれを見聞きしている人はどう思うでしょう?
不快な思いをする人が多いと思います。
そうして不快な思いが続けば今回の研究で言えば、コミュニケーションが減り、仕事の成果への自己評価も下がり、心身の健康も損なわれます。
そうすれば生産性が下がり、おかしなユーモアを言っている本人も周りの人も困ることになります。

その逆に聞いた人が喜ぶようなユーモアは、コミュニケーションを増やし、仕事の成果への自己評価も上がり、心身が健康になれます。
そうすれば生産性が上がって、みんな幸せになります。

ユーモアで笑いを取るときにも悪いことは言わないように、良いことを言うように心がけたいものです。

まとめ

仕事中のユーモアは大事なものですが、良いユーモアと悪いユーモアがあります。
悪いユーモアは他人の失敗を笑ったり、礼儀、常識に反するユーモアです。
良いユーモアは自分の失敗や同僚の行動、職場の外部をネタするユーモアです。
お釈迦さまが「幸せになりたければ良いことを言いなさい。悪いことは言わないようにしなさい」と教えられたように、おもしろいからと言って悪いユーモアは言わないように、良いユーモアで明るい職場にしていきましょう。

ユーモア以外にも仕事中に使っていきたい良い言葉があります。
こちらの記事で紹介しています。
和顔愛語でみんな幸せ!(後)|優しい言葉の共通点とは?

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こんぎつね

チューリップ企画デジタルコンテンツ事業部にてサポートとインターネット業務にも携わっているこんぎつねです。(こんぎつねの記事一覧へ)チューリップ企画に来る前は愛知県で主に60代以上向けのイベントを運営していました。人について学ぶのが好きで、大学では生物学を専攻しました。よく読む本のジャンルは心理学、脳科学など人の心や体の行動に関するものが多いです。ブログもそれらの本を参考に、この悩みは 仏教ではこう解決するという内容を専門語を使わずになるべくわかりやすい言葉で発信することに心がけています。もっともっと多くの方の悩み疑問にお答えしたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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