人生100年をどう生きる?|時間の質をあげて自分の生き方を持つには

こんにちは。”伝わる”技術研究家のみさきです。

半世紀前には100歳以上生きる人は1%未満でしたが、これから日本に生まれる子供の約50%以上は107歳まで生きるだろうという予測がたっています。

現在30代の私でも、平均寿命は90歳になるだろうといわれています。

さてそんな100年ライフを送る私たちは果たして幸福なのでしょうか。
それとも不幸なのでしょうか。

「長寿」「寿命」には「寿(ことぶき)」とあるくらいだから、幸福でしょうと思われる方も多いと思いますが、一方では、金銭面の生活不安や病気との付き合いが長くなり、長生きが不幸の種となる、と指摘する人もあります。

今回は100年ライフは人類に幸福をもたらすか、考えてみたいと思います。

人生100年時代、どう変わるのか

2017年にビジネス書の読者グランプリに選ばれた『LIFE SHIFT~100年時代の人生戦略』

この本では現在、70代・40代・20代の3人を例に老後の貯蓄についてのシュミレーションがありますが、かなりリアルで胸に迫ってきました。

シュミレーションは”各世代の3人が、65歳で引退し、老後の生活資金を最終所得の50%確保するには”という内容でした。

3人とも、これまで多くの人の人生モデルである「教育」「仕事」「引退」のステージを歩むとします。

70代:公的年金と勤務先の企業年金で、最終所得の40%を蓄えられる。
残りの10%を個人の蓄えで補うには、毎年所得の4.3%の貯蓄が必要。

40代:公的年金、企業年金が大幅に減少。平均寿命の延長により、引退後の期間が長くなる。
個人の蓄えは毎年所得の約17.2%必要。

20代:公的年金がまったく受け取れない可能性が高い。100年ライフとすると、引退後の期間は35年。
個人の蓄えは毎年所得の約31%必要。

実際は個人によって年収や家族構成・ライフスタイルなど人生要素が複雑に異なるので、大まかなイメージとして考えます。

私(現在30代)の場合、このシュミレーションでいくと毎年所得の17.2%の貯金が必要です。

年収を平均の約400万とすると、老後資金のために毎月約5万5000円の貯金が必要という試算になります。

老後の生活資金を最終所得の50%というのはかなり質素な生活ですから、余暇を楽しむためには、さらに蓄えが必要になります。

そしてお金の不安以外にも、健康、仕事、家族や友人関係、生きがいなど様々な心配が浮かんできます。

人生100年の時間の組み立てが大事

『LIFE SHIFT』には、人生100年時代では、現在の「教育」「仕事」「引退」という人生の3ステージが崩れると指摘しています。

代わって、マルチステージな人生を再構築する必要があると書かれてあります。
(詳細は長くなりますので、詳しく知りたい方は本を読んでみてください。)

本には、充実した100年ライフを生きるのに核となるのは、セルフコントロール(自己抑制)をしながら、時間の質をあげていくことが大事だと訴えています。

面白い実験が紹介されていました。

CGを使って、被験者が年齢を重ねたときにどんな顔になるか未来の顔を本人に見せ、その後、1000ドルのお金が入ってきたと想像させ、4つの使い道を示し、何を選ぶか問う、という実験です。

  • 大切な人のためにプレゼントを買う
  • 引退後に備えて定期預金に貯金する
  • そのお金で贅沢で楽しい時間を過ごす
  • とりあえず普通預金に預ける

未来の老いた顔を見せられた被験者は、見ていない人と比べて引退後のための貯金する金額が2倍以上多かったという結果でした。

この実験からわかることは、「未来の自分を想像すること」の大切さです。

先の分からない未来よりも、今の幸せが大事じゃないかと思う人もあるかもしれませんが、一時的に今が幸せであっても、晩年の100歳の自分が不幸せであれば、今の自分を否定し、悔やみ続けてしまいます。

長い老後を想像すると、今の自分はどうあるべきか、よくよく考えた行動を取るようになります。

ところが私たちが未来の自分を想像することはなかなか容易ではありません。

30代の私なら、70歳・80歳・100歳の自分を想像することは日常の中でほとんどありません。

それよりも今の日常が忙しいですし、その年の自分を想像することは、老いや病気と向き合うことになり暗くなるので、考えることを避けているともいえます。

しかし「100歳になった時、現在の自分を見てどう思うか」という厳しい視点が、人生という時間の質をあげて自分の生き方を持つことになるのだと気づきました。

幸せな人生の攻略とは?

仏教には「未来の果を知らんと欲すれば、現在の因を見よ」という言葉があります。

「未来の運命を知りたければ、現在の行動を見なさいよ」という意味です。

老後どうなるか、運命を知りたいと思ったら、今、何をしているかを見なさい、わかりますよ、とお釈迦様は言われています。

さらに仏教では、老後以上に問題にする未来があります。

それは「死」です。

人生100年をさらに掘り下げれば、未来は「死」に他なりません。

「老い」以上に「死」はさらに目を背けたい問題かもしれません。

しかし人生100年は誰もが生きられるとは限りませんが、「死」はすべての人にとって確実な未来です。

100%確実な未来である以上、誰もが「死」から目を背けるわけにはいきません。

仏教では、「死」を真面目に見つめることによって、時間の質、重さは全く変わると説かれています。

死を見つめることはいたずらに暗く沈むことではなく、真に幸せな人生を築くに大切なことなのでしょう。

まとめ

人生100年時代の到来といわれますが、これまでの自分の人生モデルを見直す機会なのかもしれません。

忙しい日常や目先の幸せに捉われがちな私たち。人生100年を幸福に過ごすために、「未来の自分」を想像して、「有形資産」と「無形資産」の両方を築いてゆきたいですね。

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みさき

はじめまして、みさきです。 チューリップ企画で「動画で学べる仏教」を制作しています。 10年間、旅のプランニングの仕事を通して、幅広く多くの方々とお話してきました。旅には各々の想いがあり、じっくりとお話をしながら旅のお手伝いをしていきます。人と関わる中で人間関係で悩んでいる人が多いことを知りました。 8年前に仏教とご縁があり、人間の心についてずば抜けた洞察の深さに感動して、今の仕事に至っています。日常の悩みについて仏教ではどう教えられているかを発信してゆきたいと思います。
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