「怒り」を「心穏やか」な心に変える3つの重要ポイント

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母親の料理が不味いとキレて、息子に殺害されるという事件が報道されました。
最近この類のニュースをよく耳にするなあ、と思います。
いわゆる「怒り」を引き金に起こった事件ですね。
悪質なあおり運転で死亡、口論の末プラットフォームから線路に突き倒す、子供に逆上し虐待。
これらの事件は、いずれも怒りを抑えきれずに起こった痛ましい事件です。

刑事事件にまで至らないまでも、怒りのために大事な立場や人間関係を壊してしまった経験のある人もあるでしょう。

今回は、怒りにどう向き合ったらいいか、考えていきます。
怒りの心を何とかしたいという人に少しでもお役に立てれば嬉しいです。

怒りで一番苦しむのは誰?

「怒りは無謀をもって始まり、後悔をもって終わる」
「怒りは自分に盛る毒」
「怒りは一切の善根を焼き払う猛炎」

これらの格言にあるように、怒りで一番苦しむのは、怒りを爆発させた本人です。
怒りによって損失する代表例は、人間関係や健康です。

人間関係に亀裂が生じる

怒りをぶつける相手は職場の部下や後輩、家庭なら夫(妻)や子供など、自分と親しい間柄の人です。

「どうして〇〇しないの?」「なんでわかってくれないの?」「私が正しい、あなたが悪い」と相手に怒りをぶつけてしまうと、相手の心は委縮して、それがストレスとなり、反発や暴力となって返ってくることもあります。

いつも怒ってばかりの人には近寄りたくありません。
やがては、怒ってばかりの人の周りには人がいなくなります。

怒ってばかりの人は病気になりやすい

普段怒ってばかりいる人は、免疫力が落ち、病気になりやすいといわれます。

心と体は自律神経系でつながっていますが、この自律神経は交感神経と副交感神経に分かれます。
人間の免疫力はリラックスして副交感神経が優位に働くとアップするのですが、普段怒ってばかりいる人は交感神経ばかりが優位になり、免疫力が落ち、病気にかかりやすくなります。

怒りは健康に大変よくないのです。

ではどうしたら怒りの心を穏やかにすることができるのでしょうか。

「怒り」を「心穏やか」な心に変える3つのポイント


①怒りの原因を知るだけで心が楽になる

私は怒りっぽい気質だから抑えることができないとあきらめている人があるかもしれません。
しかしあきらめる必要はありません。

怒りが湧き上がるのはどうしてか、怒りの元をハッキリ知るだけでも、実は心は穏やかになってくるのです。

仏教では、怒りの元はどういうものか教えられています。

それは「私が」「誰々に」「何々をした」という自惚れ心だと教えられています。

「私がしてあげた」「私も忙しい中、頑張った」「私はこんなに苦労しているのに」と、自分を認めてもらいたい。

「あなた(夫)のことを思って」「お前や子供のために」「私も忙しいのに、こんなにもした」と言って、見返りがほしい。

こういった見返りを期待する心が腹が立ってくる元なのです。
「私がこれだけしてあげたのに、どうしてそんなことを言うの!」相手からのお礼や見返りがなく、期待を裏切られたと思ったときに、猛然と腹が立ってくるのです。

夫婦や職場、友達同士の親しい間柄ほど、怒りは大きくなります。

それは近くにいる大切な人ほど、あなたの思いやりの心が大きいからです。
相手を思いやり、時間や労力をかけて努力も苦労もした、それなのに相手は、当たり前のように流し、感謝の言葉もない、その悲しさ、寂しさから怒りの心へと変わるのです。

怒りが抑えられないのは、相手の態度のせいだと思っていますが、本当はそうではありません。
自分を苦しめるのは、「これだけしてあげた」という自惚れ心なのです。

だから相手に何かをするときは「私が」「誰々に」「何々を」という心を忘れなさいよ、と仏教では勧められています。

②怒りの実態を知れば、心は落ち着いてくる

2つ目の方法は「怒りの実態を知る」ことです。

怒りの心は「瞋恚(しんい)」といわれる煩悩の一つで、すべての人間が持っている、と説かれています。

怒りの心を持っているのは自分だけではない、誰もがそういう心を持っています。

そのどんな人の心の中にも潜んでいる怒りの心が、ある些細なきっかけで表に出てきてしまい、「カッとなって通りすがりの人を刺した」とか「一時の怒りが暴力事件を起こし、引退に追い込まれる」というような、恐ろしい事件に発展してしまうのです。

私たちはお互いに恐ろしい怒りの心を持っていることをよく自覚すると、今こうして共に暮らしていることや仕事をしていることは決して当たり前ではないと知らされてきます。
そして今のご縁を大切にしよう、自分の恐ろしい怒りの心を出さないようにしよう、と努めるようになっていくのです。

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③相手にイライラした時の接し方

部下や後輩、妻や夫に「どうして〇〇できないの?」「もっと〇〇してほしいんだけれど」と言ってしまうことがあります。

相手の心に余裕があるときは、反省を促す良い言葉になる場合もありますが、ほとんどの場合は、相手の心は委縮し、大ゲンカとなったり、時には暴力となって返ってきます。

これは相手を自分の思い通りにしようとしている心です。
相手が自分の意のままに動いてくれず、イライラした心を相手にぶつけている状態です。

相手に変わってもらいたい時には、相手の現状を認める言葉をかけるのが有効です。

「よく〇〇しているね」「よく〇〇したね」と、〇〇の中には、現在、相手がしていることや相手にしてほしいことを言えば、相手は自信を持てます。そして相手にしてもらいたいことを、相手ができるようになります。

相手の落ち度を責めれば、自分も相手も苦しくなりますが、「よく〇〇しているね」と、相手を尊重すれば受け心が全く変わります。

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まとめ

怒りとはどんな心?

・怒りの心で一番傷つくのは自分自身
・怒りの元は「自惚れ心」である
・怒りの実態は煩悩で、誰もが持っている心
・相手にイライラした時の接し方

怒りの心をなくすことはできませんが、上手く付き合う対処法をいくつか知っていると、心穏やかに過ごしやすくなります。

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みさき

はじめまして、みさきです。 チューリップ企画で「動画で学べる仏教」を制作しています。 10年間、旅のプランニングの仕事を通して、幅広く多くの方々とお話してきました。旅には各々の想いがあり、じっくりとお話をしながら旅のお手伝いをしていきます。人と関わる中で人間関係で悩んでいる人が多いことを知りました。 8年前に仏教とご縁があり、人間の心についてずば抜けた洞察の深さに感動して、今の仕事に至っています。日常の悩みについて仏教ではどう教えられているかを発信してゆきたいと思います。
心が穏やかになった人へ
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