「頑張らない生き方」が広がる今の時代に必要なものとは

YouTubeの本要約チャンネルに『あやうく一生懸命生きるところだった』や『1%の努力』が上がっていました。

Googleの効率的な働き方が取り上げられたりと、頑張り所を見定めて効率よく成果を出す、というのが世界的な流れになっているようです。

頑張らない生き方が広がっている

いま中国の若者たちの間で「頑張らない生き方」が広がっています。

「横たわる」「寝そべる」という意味の中国語「躺平」(タンピン)が、転じて「結婚しない、子どもも要らない、家や車も買わない、消費しない、最低限しか働かない、質素な生活を送ること」という低意欲、低欲望のライフスタイルを指すようになり、「タンピン主義」として若者に支持されています。

発端は今年の4月、中国のSNSに「タンピンは正義だ」と題した投稿が上がったことです。

2年以上仕事がなく、ずっと遊んでいるけれど、私は何も間違っていない。いつも周囲との比較や伝統的観念から圧力を受ける。人間はそうあってはならない。私は古代ギリシャの哲学者のように、横たわって(タンピン)、ただ何もしないで過ごすことにする。“タンピン”は私の賢明な行動です。

頑張っても報われない無力感

タンピン(寝そべり)主義が支持される背景には「頑張ってもどうせ報われない」という無力感が中国の若者に広がっていることが挙げられます。

中国の競争社会は激しいです。幼い頃から有名大学に合格することを目指して朝から晩まで勉強漬けです。

私は大学時代に第二言語で中国語を専攻しており、中国人留学生とも交流していました。

その子も有名大学に進学するために猛勉強して、留学して日本語を習得し、将来は日本語を活用した仕事に就くことを目標にしていました。

実際に大学卒業後は貿易会社に就職し、忙しい日々を送っているようです。

このように、良い大学、良い会社に就職することを親や周囲から期待されるのです。

しかも、就職したら「996」という過酷な労働環境が待っています。朝9時から夜9時まで週6日働くことを指します。

しかし、親や周囲の期待に応えて頑張っても、誰しもがエリートコースを歩めるわけではありません。

実際にタンピンを支持する若者のコメントがSNSに上がっています。

がんばったって、どうせ報われない。社会の階層はすでに固定化されていて、ちょっとやそっとでは変わらないのだから。働いても家を買えないのなら、最初から買わないほうがいい。そうだろう? タンピン主義に大賛成だ!

自分にはこの先の人生が見えない。結婚したら本当に幸せになれるの? マンションを買ったら、必ず成功者になれる?先輩たちを見てきたが、決してそうは思わない

(参考:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/83971)

頑張ることも大事、それ以上に大事なのが、頑張る方向

日本でも受験戦争、学歴競争、出世競争と、中国と同じような過程をたどってきましたね。

高度経済成長期ならば、働くほど給料は上がり、同じ会社で働き続けて、十分な退職金をもらって余生を不自由なく過ごすこともできました。

そんな時代ならば、「頑張った分だけ報われる」「頑張らないのは恥だ」という価値観になるでしょう。

しかし、今は終身雇用も崩れ、大企業でも倒産、コロナ禍で突然仕事を失うことも珍しくありません。

こんな変化の激しい時代では、ただがむしゃらに頑張りさえすれば報われるという価値観は、通用しなくなっていると気づき始めているのではないでしょうか。

頑張ることももちろん大切ですが、それ以上に大切なことがあります。

それは「頑張る方向」です。

これからの時代に必要なもの

高度経済成長を遂げるまでの日本は「生きるためにとにかく頑張る」がモチベーションになったことでしょう。

戦後の食べ物もモノも無い状態では、毎日生きるために必死です。

そのためには、とにかく頑張り続けなければなりません。

「金」「モノ」を得られたら幸せになれると信じて、必死に頑張ってきました。

そして日本は経済成長を遂げ、物質的な豊かさは手に入れました。

しかし「物質さえ手に入れば豊かになれる」と必死に努力してきたのに、モノ余りの時代になった今、幸福感は上がったのでしょうか?

むしろモノの管理や維持に労力を使い、モノが多すぎると判断力を下げるからと「断捨離」「ミニマリスト」の流れに変わっているように思います。

タンピン主義を支持する中国の若者が「結婚したら本当に幸せになれるの? マンションを買ったら、必ず成功者になれる?先輩たちを見てきたが、決してそうは思わない」と言っているように、必死に働いてお金を手に入れても、身体を壊したり、家族との関係が希薄になって孤独になったりしている大人たちを目にしてきた若者や子どもは「物質の豊かさ=幸せ」とは、とても思えないでしょう。

物質的豊かさを手に入れた今の時代に、どうしたら幸せになれるのか?

頑張る方向をどこに持って行くのか。

「幸せとは何か」をじっくり考える時代に来ています。

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九条えみ

九条えみ

チューリップ企画では、お客様サポートおよびウェブでの情報発信を担当しています。仏教を学んで約10年。仏教の視点からお悩み解消のヒントをご紹介できればと思います。
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