部下が納得できる叱り方とは?|叱る時に「抜けがち」な視点(2)
こんにちは。”伝わる”技術研究家のみさきです。
以前、部下を叱るときに気をつけるポイントをお話ししたところ、
いくつかのご感想をいただきました。ありがとうございます。
励みになります。
自分が若手社員で叱られる立場だったときは、叱る人の大変さは分からず「あの上司は苦手だ」とか「叱られてばかりで会社に行くのが憂鬱…」などと、同期とよく愚痴をこぼしていたものです。
しかし部下を持つ立場に立って、「叱る」ことは労力や時間を要する大仕事だな、とだんだんわかるようになりました。
今も決して叱り上手になったわけではありませんが、失敗したり、教えてもらったりして気をつけるようになった「叱り上手になるポイント」を前回に引き続き、紹介いたします。
どこで部下を叱っていますか?
どんなつまらねえ野郎でも
人の前では決して叱言(こごと)をいったことがございません
これは東海一の任侠の大親分と、名を馳(は)せた清水の次郎長の言葉です。
任侠と聞くとやくざを思い浮かべますが、幕末の動乱期に治安悪化の立て直し、富士山麓の開発などの社会貢献をも成した名士だったと聞きます。
静岡の出身である祖母から清水の次郎長の話をよく聞いて、なんとなく親しみを持っていましたが、その次郎長が「叱る時は絶対に人前で叱らない。その人だけ呼んで叱る」というのがモットーだったと知り、さらに親しみを感じるようになりました。
さすが多くの任侠を束ねた大親分とあって、人間の心の機微(きび)をよく熟知していた人なのでしょうね。
上司に叱られ、何年たっても忘れられないという部下の声
毎日のように上司に叱られていた後輩がいました。
叱られる理由が確かに彼女の仕事ぶりにあったのですが、何もあんな大勢の前で毎回叱らなくてもいいのにと、側から見てかわいそうに思うほどでした。
しばらくして、その上司は人事異動になりましたが、部下であった彼女は3年経った今でも時々こう言っています。
「あれだけは何年たっても忘れられない。いまだに思い出すたびに、腹がたち、悔しくてたまらない。」
彼女がそう思うのも無理もないなと思いましたし、自分も誰かを注意するときに気をつけなければと思い知らされました。
部下を叱ることが逆効果にならないために知っておきたい「人の心」とは?
誰でも、多くの人からステキな人だと思われたい、立派な人だと言われたい、という名誉欲(めいよよく)を持っています。
だから人前で叱られると「恥をかかされた」と腹が立ってしまって、アドバイスも素直に聞く耳を持たなくなってしまうのです。
たとえ注意されている内容が正論でも、人前で叱られたら「何もこんなところで、こんな風に言わなくても」の思いが先に立って、冷静に聞くことができなくなってしまいます。
もしそれが別室に呼ばれて「こういうところは直した方がいいよ」と叱られたのであれば、素直に聞けるのです。
一対一で静かに叱られたときは、「その通りだな、こう注意をしてくれるのはありがたいな。」と思い、自分の欠点に目が向き、行動を改めようとなってきます。
清水の次郎長は、「人からよく見られたい」という強い願望を誰もが持っていることをよくよく知っていたからこそ、人前で絶対に叱らなかったのでしょう。
まとめ
部下を持つ立場になると、「叱る」ことの難しさを実感し悩みます。
清水の次郎長は 「名誉欲」(めいよよく)という人の心をよく認識していたことが、大勢の人を束ねた理由の一つにありました。
叱り上手になるには人の心をよく知ることが肝心です。
注意をしてもなかなかやる気を出してくれない部下に困っている、という方にはこちらの記事がおススメです。
みさき
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