本当に良い人間関係は「わかりあえなさ」から生まれる
こんにちは。みさきです。
なかなか自分の思いや考えを相手に分かってもらえない時ってありますよね。
特に私たちがつらい気持ちになるのは、夫婦や親子、職場の上司や部下など、身近な人とわかりあえない時です。
身近な人に対して私たちは、相手のことを理解したい、自分のことも理解してもらいたい、という思いがあるので、そんな人にわかってもらえなかったときに、ショックも受けますし、怒りや悲しみを抱くものです。
今回は「わかりあえなさ」から始める人間関係について考えてみたいと思います。
わかりあえないのは「見えていないもの」があるから
長年、同じ職場にいると、同僚も「私と同じ考えを持っている」と無自覚に思い込んでいることがあります。
「これぐらい言わなくても分かっているだろう」と思い込み、伝えずにいると後で思わぬ問題に発展したり、人間関係に亀裂が生じたりします。
上司が部下に対して、自分と同じ知識や常識を持っているのが当然のように話すので、部下は分からないことを聞くのにためらってしまうケースはよくあります。
その結果、部下が思い通りに動いてくれず、上司が腹を立てる、ところが部下には、なぜ怒っているのかが分からないのです。
ここで上司がまず部下に対して受け止めるべきは、「自分と同じ考えを持っているだろう」というのは錯覚だと自覚することです。
何を話しても「分かり合えていない」のがスタンダードだと思って間違いありません。
自分が相手に対して見えていないことは何だろう?と意識すると、相手の話を丁寧に聞き、丁寧に話をするようになっていきます。
人間関係に溝が深まる原因
職場で対立する関係性になりやすい開発部と営業部の2つの部署間の事例から考えてみたいと思います。
開発部は、自分たちの開発した製品や技術を営業部が正しく理解せず、その結果、十分に顧客に価値を訴求してくれていないし、市場へのリーチもできていない、と腹立っています。
一方の営業部からすると、販売された新しい製品が、顧客に対してどういう価値があるのか、訴求点があるのかはなんとなくわかってはいます。
しかし、既存製品の売上の見込みのほうが立てやすいため、なかなか顧客の開拓に手をつけられないという状況にあります。
あなたが開発部の社員であると仮定してみましょう。
製品の品質に誇りを持ち、「良い製品なのに、なぜ売らないのか」と、営業部の不誠実さに最初は腹が立つこともあるかもしれません。
ところが営業部は、新製品には売りにくい、既存商品との差が理解されづらいなど、開発部に不満を持っているのです。
それぞれの部署で「自分が正しい、相手に問題がある」と、みています。
お互いにそれぞれの職種の立場から、自分が正しく、相手に問題があるように見えているために、対立になってしまうのです。
本当に良い人間関係は「わかりあえなさ」から生まれる
仏教では、一人一人の世界は「業界(ごうかい)」によって作られている、と教えられています。
「業界」は「ぎょうかい」と読まずに「ごうかい」と読みます。
「業」とはインドの言葉で「カルマ」といい「行為」のことです。
一人一人、今まで「見てきたもの」「聞いてきたもの」「話してきたこと」「考えてきたこと」は、みんな違います。
だからお釈迦さまは「業界はみな異なる、すべての人は一人一人、異なる世界に生きているのだよ」と教えられています。
協力したい同僚と本当に良い人間関係を築くには、まず「自分が正しい、相手に問題がある」という判断を保留にして、相手との対話を増やし、お互いの違いを理解することが大切だと思います。
相手との違いが分かると、自分の意見が相手に届かない理由は何かが見えてきて、相手との溝に橋をかけていこうと考えるようになっていきます。
「相手とわかりあえなくて苦しい」と気づくことは、本当に良い人間関係を築く始まりといえるのではないでしょうか。
みさき
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