伴侶と死別し生きがいを無くした方へ|伴侶も自分も幸せになれる仏教の教え
こんにちは。こころ寄り添う研究家の九条えみです。
歌でもマンガでも映画でも、恋愛をテーマにしたのは多いです。
それほど「愛」というのは人の心を動かすのでしょう。
最近お会いした78歳のとある女性も、7年前に最愛のご主人を亡くされた想いを語られました。
「夫を今でも愛しています。
夫がいない世の中を私はなんで生きているんだろう、と毎日考えています」
今でもご主人を愛される一途な思いに心打たれると共に、最愛のご主人を亡くし生きがいを失った女性の切実な思いが伝わってきました。
伴侶より先に死にたくない理由は
最愛の人が亡くなった世の中で生きていくのは苦痛でしかない―。
そんな心境を映画『君の名は。』や『天気の子』の主題歌を手がけたバンド・RADWIMPS(ラッドウィンプス)が歌にしています。
あなたが死ぬそのまさに一日前に僕の息を止めてください
これが一生のお願い (RADWIMPS『25コ目の染色体』)
愛する人との死別は、すなわち自分の死である。
それは自分の生きる意味が無くなるからと歌っています。
伴侶と死別し生きがいを失った
文芸評論家の江藤淳氏も、最愛の妻である慶子夫人を病で亡くし、その翌年に66歳で自ら命を絶ちました。
最愛の妻を亡くし、生きがいを失った心境をこう綴(つづ)っています。
家内の生命が尽きていない限りは、生命の尽きるそのときまで一緒にいる、決して家内を一人ぼっちにはしない、という明瞭な目標があったのに、家内が逝ってしまったいまとなっては、そんな目標などどこにもありはしない。
ただ私だけの死の時間が、私の心身を捕え、意味のない死に向かって刻一刻と私を追い込んで行くのである。『妻と私』
江藤氏は亡き妻を追って、自らも命を絶ってしまいました。
自殺まではせずとも、伴侶と死別してうつ病になったり、生きがいを失ってもぬけの殻のように過ごす人もいます。
裏を返せば、それほど愛していたということです。
あなたが最愛の人の悲しい顔を見たくないように、亡くなった最愛の人もあなたの悲しむ顔を見たくないのではないでしょうか。
あなたも幸せになって、亡くなった最愛の人も幸せになれる。
そんな生き方があれば、 生きる意味を取り戻せるかもしれません。
亡くなった伴侶のためにできること
そのヒントが国宝級の名文と言われる仏教書『歎異抄(たんにしょう)』にありました。
ただ自力をすてて急ぎ浄土のさとりを開きなば、六道四生(ろくどうししょう)のあいだ、いずれの業苦(ごうく)に沈めりとも、神通方便(じんずうほうべん)をもってまず有縁(うえん)を度(ど)すべきなり
意訳:阿弥陀仏(あみだぶつ)に絶対の幸福に救っていただき、やがて浄土で仏のさとりを開けば、どんな苦しみの世界に沈んでいる者でも、助けることができるのだ
仏教になじみのない方は「阿弥陀仏(あみだぶつ)って?」「仏のさとりなんて自分と関係ない」と思われるかもしれません。私も仏教を学ぶ機会がなければ、同じ感想を持ったと思います。
仏教の言葉はひとまず横に置いておき、まずポイントとして押さえていただきたい「大切な人を救う」という点について説明したいと思います。
要点をまとめると、大切な人を救いたければ、まず、自分自身が救われる必要があるということです。
ちょうど、川でおぼれている人を助けようとするには、まず、自分自身がロープで身体を固定して安全を確保しなければならないのと同じです。
自分の安全が確保できていないのに助けようとすれば、自分もおぼれてしまい助けることはできません。
本当に助けたいと思えば、自分が安全な状態になることが先決なのです。
では、仏教でいう安全な状態とはなんでしょうか?
それは、この世で阿弥陀仏(あみだぶつ)という仏さまに救っていただき絶対の幸福になること。そして死んで浄土に生まれ仏のさとりをひらくこと。
この2つの救いにあずかることだと説かれています。
死んで浄土で仏のさとりを開けば、仏の力によって、縁の深い人々を思う存分救うことができる。
そのためには、生きている今、阿弥陀仏(あみだぶつ)に絶対の幸福に助けていただかなければならない、と言われています。
絶対の幸福にわが身がなれば、亡くなった大切な人も喜んでくれます。
まとめ
最愛の伴侶と死別し、生きがいを失って、うつになったり、時には自ら命を絶ってしまう方もあります。
死別の悲しみは、裏を返せば、それほど愛していたということです。
あなたが最愛の人の悲しい顔を見たくないように、亡くなった最愛の人もあなたの悲しむ顔を見たくないのではないでしょうか。
あなたも幸せになって、亡くなった最愛の人も幸せになれる。
そんな生き方のヒントが仏教書『歎異抄』にありました。
亡くなった伴侶を本当に助けるには、この世でまず自分が絶対の幸福に助けられる必要があると書かれています。
亡くなった人が望むこと、そして「絶対の幸福」という幸せについて「母が亡くなった」悲しみと後悔ばかりの私にできる恩返しとはに書きましたので、ご覧いただければと思います。
伴侶の死・とりわけ妻を亡くした悲しみから立ち直れずに苦しんでいる男性が多いようです。
ある60歳の男性も、奥さんを53歳の若さで亡くしました。
そんな折、あるブッダの言葉を聞いて生きる力を取り戻しました。
妻を亡くした悲しみから立ち直るには?孤独を救ったブッダの言葉
九条えみ
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