夫婦で分かり合えないと思い悩んだことはありますか
こんにちは。伝わる技術研究家のみさきです。
『四月になれば彼女は』(川村元気)
2016年に発売された本が、この7月に文庫本となり、話題を呼んでいたので読んでみました。
ただの美しい恋愛小説に留まらず、人を愛する心の実態を深く洞察されています。
誰かを愛するのも、誰かに愛されるのも感情は一瞬。
愛する人と分かり合えない心の孤独を知った時、本当の幸せを探していく。
そんなストーリーでした。
今回は『四月になれば彼女は』の心に残った一コマから「夫婦で分かり合えない苦しみ」について、掘り下げて考えてみたいと思います。
心の底では本当には分かり合えない孤独
わたしの愛とあなたの愛が等しく重なるのは、まるで日食のよう
小説の中の一節です。
太陽と月が重なるのは一瞬で、その後また離れてゆく。
そんな日食のように、2人の愛も等しく重なるのは一瞬で、お互いの心は徐々にすれ違っていきます。
好きな人と恋人になれた時、
愛する人と結婚の日を迎えた時、
多くの人は2人の関係が永遠に続くものだと信じていますが、しばらく一緒に過ごしてみると、夫(妻)が何を考えているのか分からなくなり、今も私のことを好きでいてくれているのだろうか、と不安な思いが出てきます。
小説に出てくる主人公ハルも、彼のことを好きでいながら、いつも不安でした。
彼との付き合いは順調であったにも関わらず、心の底で本当には分かり合えない孤独があったのです。
仏教に教えられる苦しみの一つに「求不得苦」(ぐふとっく)があります。
求めるものが、思うように得られない苦しみのことです。
- 片思いだった相手と付き合うようになり、結婚をし、幸せいっぱいだったはずなのに、心からの安心ができない。
- 好きな人と一緒にいるのに、相手の心は自分に向いていないのではないかと不安になる。
- 一緒になれたと喜んでいたのに、相手と分かり合えずに心がすれ違っていく。
- 好きな人と一緒にいるのが苦痛となり、別れる。
好きな人と結ばれて幸せになれたと思うのはつかの間で、「求まった」という満足はなく、自分の心も相手の心もコロコロと揺れ動き、不安や寂しさがつきまとい、時にそれは憎しみという苦しみに変化することもあります。
『四月になれば彼女は』の主人公ハルは、分かり合えない心の孤独から彼を裏切る事件を起こしてしまい、別れてしまいます。
ハルは、好きな人との愛が日食のように一瞬重なり合ったその時の、自分の真っ直ぐな気持ちを大切に抱えながら幸せの探求を続けてゆきます。
幸せな気持ちと悲しい気持ちは紙の裏表のように切っても切り離せないものなのかもしれません。
「求不得苦」の世の中で、本当の心の幸せとは何か、考えさせられる一冊でした。
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みさき

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