「夫婦二人で過ごすのが少し億劫」そんなときに考えたい、これからの関係

最近、ある女性とお話しする機会があり、夫婦の「話し合い」について考えさせられることがありました。
その方のご主人は、これまで単身赴任をされており、これから再びご夫婦で一緒に暮らすことになったそうです。
「せっかくまた二人で暮らすのだから、これからのことをいろいろ話し合って、楽しく過ごしていきたいんです」
そう話される一方で、一つ心配なことがありました。
それは「夫と話し合うことが怖い」ということでした。
これまでにも何度か話し合おうとしたものの、ご主人が感情的になってしまったり、話の途中で言葉を重ねられたりして、最後まで自分の思いを聞いてもらえないことがあったそうです。
「私はこう思っている」と伝えたいだけなのに、「そんなことは言っていない」「結局、何が言いたいんだ」と言われてしまう。
そのようなことが何度か続けば「どうせ話しても分かってもらえない」と思ってしまうのも無理のないことかもしれません。
やがて、本当に伝えたいことほど言えなくなってしまいます。
夫婦は一番身近な存在だからこそ「分かってほしい」という気持ちも強くなります。
その相手に分かってもらえないことは、思っている以上につらいものです。
本当に「何も話し合えない夫婦」なのでしょうか
ところが、もう少しお話を伺ってみると、少し違った一面が見えてきました。
「ご主人とは、本当に何も話し合えないのでしょうか」そう尋ねてみると、「いえ、話せることもあります」とのことでした。
たとえば、娘さんの生活のこと。引っ越しのこと。
そして、これから自分たちのお墓をどうするかということ。
こうした話題については、ご夫婦で相談できているそうです。
それを聞いて「まったく話し合えないわけではないのですね」と気づきました。
話を整理していくうちに、一つのことが見えてきました。
夫婦の間に共通の経験や共通の認識があることは、比較的話し合いやすい。
一方で、育ってきた環境やこれまでの経験、価値観が大きく異なることについては、話がかみ合わなくなりやすいのです。
そう考えると「夫は私の話を聞いてくれない」という見方だけではなく、もう少し違った見方もできるのではないかと思いました。
長年連れ添った夫婦でも、見えている世界は違う
夫婦は家族です。
長い間、同じ家で暮らし、一緒に食事をし、子どもを育て、さまざまな出来事を乗り越えてきたという方も多いでしょう。
それだけに「これくらいは分かってくれているはず」「夫婦なのだから、言わなくても分かるだろう」と思うことがあります。
しかし、よく考えてみれば、夫婦になる前は、それぞれ別の家庭で育ち、別々の人生を歩んできました。
育った環境も違います。
親との関係も違います。
お金についての考え方も違います。
何を大切にするのか。
どんな言葉に傷つくのか。
困ったとき、どのように対処するのか。
長年一緒に暮らしていても、すべてが同じになるわけではありません。
むしろ、違っていることのほうが自然なのかもしれません。
仏教に「一水四見(いっすいしけん)」という言葉があります。
同じ一つの水でも、見る者によって違ったものとして見える、というたとえです。
一つの水を・・・
人間は飲み物と見る
魚は住処と見る
餓鬼は炎と見る
天人は瑠璃(るり)と見るところから「一水四見」といわれます。
同じ出来事を経験していても、人によって受け止め方は異なります。
このことを知ると「どうして分かってくれないのだろう」という思いから少し離れて「この人には、どのように見えているのだろう」と考えることができます。
夫婦だからといって「分からないことがあるのは、おかしなことではない」
そう考えるだけでも、気持ちが少し楽になることがあります。
まずは「話せること」から始めてみる
今回お話しした女性も「これからは夫と、きちんと話し合わなければ」と思っておられました。
けれども、これまで話すことが難しかった大きな問題から、いきなり話し合おうとすれば、緊張してしまいます。
「また感情的になったらどうしよう」
「最後まで聞いてもらえなかったらどうしよう」
そんな不安を抱えながらでは、話し合うこと自体が大きな負担になってしまいます。
それならば、まずは、二人が話しやすいことから始めてみる。
子どもや孫のこと。
住まいのこと。
これから行ってみたい場所。
老後をどのように過ごしたいか。
健康のこと。
二人がある程度共通のイメージを持てる話題から、少しずつ言葉を交わしてみるのです。
その中で「この人は、こういうことを大切にしているのだな」「こういうことには心配を感じる人なのだな」と、相手の考え方や特徴を知ることができます。
夫婦の話し合いというと、つい「問題を解決しなければならない」「結論を出さなければならない」と思ってしまいます。
しかし、その前に大切なのは、お互いを知ることなのかもしれません。
小さなやり取りを積み重ねながら、お互いのことを少しずつ知っていく。
分かり合っているから話すのではなく、分からないことがあるからこそ話してみる。
そんな関係を、少しずつ育てていけたらよいのではないでしょうか。
長い夫婦生活の中では、子育てが一段落したり、退職を迎えたり、親の介護が始まったりと、二人の暮らしが大きく変わる時期があります。
これから夫婦二人で過ごす時間が増える方もいらっしゃるでしょう。
「今さら何を話せばいいのだろう」と思うことがあっても、まずは二人で話しやすいことから。
そこから少しずつ、これまで知らなかったお互いを知る時間にしていく。
それが、これからの夫婦の時間を、より穏やかで心地よいものにしていく一歩になるのかもしれません。
こんなことをもっと知りたいあなたへ
「悩みの根本に向き合いたい」
「変わらない幸せを見つけたい」
「人はなぜ生きるのか…」
あなたの「なぜ?」に深く応える映画があります。
みさき
最新記事 by みさき (全て見る)
- 「夫婦二人で過ごすのが少し億劫」そんなときに考えたい、これからの関係 - 2026年10月7日
- 「自分もあと10年か」76歳になって、人生の終盤だからこそ知りたいこと - 2026年9月2日
- 「お盆」の最高の過ごし方|亡き人が教えてくれる大切なこと - 2026年8月5日



