「居場所がない」と自分を追い込む前に知って欲しいただ1つのこと
心地よい人間関係研究家の九条えみです。
「居場所がない」
ふと感じたことは誰にでもあると思います。
しかし、慢性的に続く時は、考え方を変えるのはどうでしょうか。取り返しのつかない状態になるまえに。
ゼミで居場所がないと悩む大学生Aくんの話
大学の後輩であるAくんから聞いた実話です。
3年生になりゼミ入ったAくん、そのゼミでは同期は女の子2人だけ。
しかもその2人は小学生から大学生まで一緒の幼馴染でとても仲が良く、まるでAくんがいないかのようにいつも2人だけで盛り上がっています。
ゼミの旅行先を3人で決める際にも、複数の旅行雑誌を2人だけで眺め、ペチャクチャとおしゃべりしている。
自分には1枚の資料しかない。
「俺には資料が1枚しかないけど?」と聞くと
「あ~。もう帰っていいよ」と仲間外れにされる。
それも1度きりではありません。
ゼミで新しく購入したパソコンを設定するために、ドライバーを持ってきてほしいと頼まれたAくん。
ドライバーを持っていくと「あぁ、もう帰っていいよ」と言われ、怒ったAくんはドライバーを机の上にバンと叩いて帰ったのですが、その後、ごめんの一言も無かったそうです。
さらに悪いことに、ゼミの先輩はプライドの塊のような人だらけです。
ゼミが始まると、誰も積極的に発言せず、終始重たい空気が流れる。
韓国から留学していた同じゼミ生が帰国の際に「やっぱりあのゼミは異常だったと僕も思うよ」と言ったほどです。
もともと熱い性格のAくんは、何とかゼミの雰囲気を良くしようと、飲み会を企画しますが、やはり沈黙。
その沈黙を破ろうと、勇気を出してAくんが言葉を発すると、先輩からギロリとにらまれる。
「面白い話できるんだろうな?」と言わんばかりの無言のプレッシャーを与えられ、盛り上げようと努力しているのに、協力する気がない先輩達にガッカリします。
同期の女の子には足代わりにされたり、面倒ごとを押し付けられたり。あまりの理不尽さに抗議しても、口喧嘩が強い女の子に勝てず、現状は打開できないまま。
ゼミの人間関係に悩んだAくんは、ゼミの先生に「ゼミを変えてほしい」と懇願しますが「Aには居てほしい」と逆にお願いされる。
大学の相談機関すべてを利用し、悩みを打ち明けるも、解決はできず、3年後期には心を病み、ゼミに行こうとすると、胃が痛くなり吐いてしまうほどだったそうです。
「このままでは、つぶれてしまう」
そう感じたAくんは、大学の外の世界を見てみようと思ったのです。
自分の居場所を複数もつ
ネットで社会人サークルを調べ、勇気を出して参加しました。
そこで出会った人たちは、初対面のAくんの悩みをしっかり聞いてくれました。
「それは大変だね。本当によく頑張ってるよ」
この一言に心が救われたそうです。
「最初はゼミの雰囲気が異常だと感じていたけれど、そのうち自分が異常なのではないのか?と思うようになりました。でも、ここで話ができて、自分の感覚が異常だったわけではないと再確認できました」と元気を取り戻せたそうです。
この話から思うことは、「居場所が1つしかない」と思い込むと人は追い詰められてしまう、ということです。
Aくんの場合、大学ではゼミが唯一の居場所でした。
そのゼミで同期や先輩と仲良くできないことは「居場所がない」も同然でした。
学校でのいじめを苦に自殺してしまう子供たちにも通じると思います。
「学校にしか居場所がない。その学校でいじめられては、この世に自分が存在していい場所はない」
こういう心理状態なのだろうと思います。
だからこそ、あえて居場所を複数もつことが大事になります。
学校、職場、家庭、サークルなど、複数あれば、どこかで問題が起きても逃げられる安全地帯となります。
まとめ
居場所がなくて辛くなった時に大切なことは「今いる環境がすべて」と思わないことです。
命を捨てたくなるほど苦しいならば、その環境に居続ける必要はないのではないでしょうか。
Aくんが社会人サークルの人と出会って、元気を取り戻せたように、生きていれば自分をそのまま認めて応援してくれる人たちに出会えるかもしれません。
その環境から逃げるのも方法の一つです。
外の世界から、自分のいた場所を眺めると「こんなことで悩んでいたのか」と心が軽くなることがあります。
自殺をしても苦しみの根本解決にはならないことを、もっと多くの人が知る必要がある世の中になっていると感じます。
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九条えみ
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